コ ラ ム
2024年5月1日
レジリエンスの高い子と低い子
以前のコラム「100%理解できないとダメ?」
でも少し取り上げましたが、勉強では学年が上がるごとに
よくわからないという気持ち悪さを飲み込んで先に進む力
が必要になってきます。
これは、高校数学を思い返していただけるとよくわかると思うのですが、
扱う内容がかなり抽象的になってくることから
いきなり完璧に理解するということがほとんどできないからです。
そういった単元では、子供たちは大抵、次の2種類のタイプに分かれます。
① よくわからないけど、そのうち理解できるだろうと考えて、教わった通りのやり方に従って問題を解いてみる子供
② よくわからないから、自分にはできないと思い込んで、考えることや試すこともせず、「もっと教えてくれないとできない」と助けを求める子供
もちろん、数学ができるのはタイプ①の子供なのですが、
ここで見ていただきたいのは、タイプ①の子供も、実際には最初からそこまで完璧に理解してはいないということです。
(私自身も最初から完璧に理解しているということはほとんどありませんでした。)
よくわからないな?となったときに、
それを自分の中でどう捉えるか
ということが大事になってくるわけです。
こういった「よくわからない」となったときの困難や逆境を克服する力は、しばしば「レジリエンス」として語られますが、
(小塩真司, 2021)
将来的には学力向上に必須となってくる力だと考えています。
このレジリエンスの有無は当学童塾でも、
難しいルールのパズルに挑むときに、顕著に表れてきます。
(複雑なルールでもまずはルール通りやってみる子と、複雑になった瞬間に思考を放棄する子、に分かれます。)
このレジリエンスは先天的なものではなく、トレーニングによって鍛えられることが分かっているので、またまとまったものが書けそうならコラムにしたいと考えていますが、
ここでは、当学童塾に通っている方を想定して、お家での声掛けについて考えてみたいと思います。
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※集団ACTのプリントを持って帰って「パズルよくわからなかった」という子に対して
(親から見ても、子供がルール自体を難しく感じており、思考を放棄して、ACT中ほとんど手を動かせてなさそうと感じたとき)
子供:「ACTむずかしくて、ぜんぜんわらなかった。」
親 :「むずかしかった?」
子供:「むずかしかった。どうやったらいいかよくわからなかった」
親 :「ルールが難しかった?」
子供:「なにしたらいいかよくわからなかった」
親 :「ちょっと一緒に考えてみる?」
子供:「うん」
(しばらく一緒に考えながらやってみて、ある程度子供がルールを理解)
子供:「こうすればよかったんだ!なんとなくわかってきたかも」
親 :「意外とやりやすいでしょ?難しく感じても先生に教わったルール通りにやれば
、できるようになってくるし、わかってくるものなんだよ」
子供:「たしかに」
親 :「最初は難しく感じてもできるようになったことってたくさんあったでしょ?例えば、○○のパズルも最初は全くできなかったけど頑張ってできるようになったし、ピアノも練習して今では簡単に感じてるでしょ?」
子供:「うん」
親 :「最初はみんなそんなものなんだよ。大事なのは、難しいと感じてもあきらめずにまずは教わった通りやってみること。やってるとそのうちできるようになってくるよ。あなたはそういう時に頑張れる人間なんだから。」
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この対応が正解というわけではないのですが、
こういったお家でのかかわり方は大事にしてあげていただきたいなと考えています。
子供というのは過去の体験を言語化して保存できていないので、
過去の成功体験を持ってきて現在と照らし合わせてあげたり、
自己認識も定まっていないので、「あなたは○○よね」と、
ポジティブな声掛けをして、自己評価を高めてあげることが肝要であると考えています。
(以前のコラム「うちの子勉強ができなくて・・・。」でも取り上げましたが、人間は自己評価にふさわしい行動をとろうとします。)
長くなりましたが、またレジリエンスの鍛え方は、ご紹介したいなと考えています。
本コラムが皆様のご参考になれば幸いです。
小塩真司, 平野真理, 上野雄己 (2021) 「レジリエンスの心理学: 社会をよりよく生きるために」
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