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早期英語教育について

 コ ラ ム 

2024年10月31日

早期英語教育について

近年、小学校低学年から英語教育が始まり、懇談中にも「英語を早く習ったほうがいいでしょうか?」とよく質問を受けます。





確かに小学校で必修化・教科化したこともあり、中学校に入るまでにある程度単語を覚えておかないと困るところもあると思います。





ただ、私としては大学入試や社会人として使うことを目的とした場合、





そこまで急いで英語を習う必要性は感じておりません。





以前のコラム「早期の英語教育はプラス?」でも触れたことがありますが、





大学受験指導をしていて、英語で躓く子のほとんどが日本語力の不足から来ていると感じることが多くありました。





和訳した自分の日本語の意味が通るか判断がついていない子、





日本語から主語、述語、目的語、副詞などの品詞の関係をきちんととらえられず英訳で苦戦する子、





など、様々なパターンがありましたが、





いずれも日本語力の不足が根本にある問題でした。





特に難しい大学になればなるほど、和訳、英訳、読解がメインになり、





その文の内容は日本人が日本語で読んでも複雑なものがほとんどで、単に英語の単語や意味が分かっても理解できない内容や問題が非常に多くなってきます。





学年や志望校のレベルが上がるにつれ、英語の偏差値を上げるためには日本語のしっかりした力(土台)が不可欠です。







さらに、早期の英語学習(英語漬けの生活)は、逆効果になることも示唆されています。





カミンズ(Cummins, 1984)によると、トロントに移住した日本人を10年間追跡した調査の結果、




どの年齢で移住しても日常会話レベルの習得には大きな差がない一方、




幼少期(6歳まで)に移住した子どもは、学習言語力(英語読解力)を身につけるのに長い時間がかかり、小学校3年生の頃には学校の勉強についていけなくなる傾向があることがわかりました。





逆に、小学校3年生以降に移住した子どもたちは、最初は苦戦しても最終的には難しい内容を理解し、現地の学校の勉強にもきちんと適応する傾向が見られました。





もちろん、こちらの研究がすべてだとは思いませんが、





私の塾講師時代の経験に照らしても納得できる部分が多く、





私たち日本人が思考する際に用いるのは日本語なので、





日本語を高いレベルで習熟し、その使い回しに熟達していないと、





論理的に考えたり、難しい内容をかみ砕いて理解することに非常な困難が伴うことは想像に難くありません。





したがって、英語学習を始める前に日本語の土台がしっかりできているということが何よりも大事であると考えています。





「仕事で使うために話せるようになっておいたほうがいいのでは?」とお思いの方も多いと思いますが、





学生の頃に数か月留学をしたり、社会人になって1年ほど勉強するだけで、あっという間に英語を仕事レベルで使えるようになった人を何人も見てきました。


(高校卒業レベルのある程度の基礎があれば、大体の人が日常会話レベルはすぐに話せるようになるイメージがあります。)






英語が必修・教科化したからといってあまり焦られず、お子様の成長に合わせて冷静に検討していただきたいなと思います








Cummins, J. (1984). Wanted: A theoretical framework for relating language proficiency to academic achievement among bilingual students. In C. Rivera (Ed.), Language proficiency and academic achievement(pp. 2-19). Clevedon, UK: Multilingual Matters.





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