コ ラ ム
2023年2月10日
暇の効用
「暇!」
子供が家にいるときによく耳にする言葉かもしれません。
この言葉を聞くとうんざりする方もいれば、
子供に何か与えたりしなければと切迫感を感じる方もいるかもしれません。
しかし、子供が「暇」である状態には、いい側面もあることが最近では知られるようになっています。
子供は「暇」になると、自発的に何かをしようと周囲を見渡します。
そして遊べそうなものを能動的に探すようになります。
普段遊ばないようなもので遊んだり、またこれまで遊んできたものでも新しい遊び方を見つけ出したりします。
過去の研究では、「子どもがしたいことを認識し,実現可能な場所を提供することは,子どもの自立した行動を刺激する」(Bjørgen,2015)と
子供の暇の状態には子供の自発性を促す効果があることが示唆されています。
実際、当学童塾でも子供が暇な状態になると想定をしていないような遊びをしたりします。
例えば、子供たちでホワイトボードを掃除しだしたりします。
なぜそんなことをするのかわかりませんが、子供たちは楽しそうにホワイトボードを拭いています。
近くで会話を聞いてみると、「少し黒ずんでいるところをどうやったらとれるか?」子供達で議論しています。
空拭きをしたり、水拭きをしたりしている中で、アルコールで拭くときれいになることに気づきます。
子供たちは、「アルコールはマジックも消せる!」と大はしゃぎです。
こういった与えられた体験ではなく、自分で見つけた体験が親水性、親油性のリアルな原体験となり、
将来、化学を学習したときの腹落ちが変わってきます。
これからの時代は人から与えられるのを待つだけでなく、普段の生活の中に自ら仕事や楽しみを見つけていくスキルが重要になってきます。
子供時代の「暇」の時間が子供たちの自発性を高め、「待ち」の姿勢から「探求」の姿勢を身に着ける素地となるのかもしれません。
一方で、「うちの子は暇になるとぼーっとしてしまう」と心配になる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この「ぼーっとする時間」も、近年では脳の発育に非常に重要な時間であることが分かってきています。
長くなってしまったので、続きはまた次回のコラムにて紹介したいと思います。
Bjørgen K. (2015) Children’s Well-being and Involvement in Physically Active Outdoors Play in a Norwegian Kindergarten: Playful Sharing of Physical Experiences. Child Care in Practice, DOI: 10.1080/13575279.2015.1051512
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