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「褒める」よりも「感心」する

 コ ラ ム 

2026年1月7日

対等な関係が育む子どもの自律心

わが子がテストで満点を取ったり、何かに成功したりしたとき、親として純粋に嬉しく思うのは自然な感情です。

しかし、その喜びの「表現方法」を一歩間違えると、子どもの自律性や成長意欲を阻害してしまうリスクがあります。

今回は、教育現場で多くの親子を見てきた中で、私が気になっている「褒め方の落とし穴」について、論理的な観点からお伝えします。




結果ではなく「過程」にフォーカスする

子どもが成果を出した際、まず「100点なんてすごい!」「天才だね」といった、結果や能力のみを賞賛する姿をよく目にします。

しかし、あまりに結果だけにフォーカスしてしまうと、子どもは「結果さえ出せばいい」という思考に陥り、本当に大切な「姿勢」や「努力」が結びつかなくなってしまいます


スタンフォード大学のキャロル・ドゥエックの研究によれば、知能や結果を褒められた子どもは、失敗を自分の能力不足と結びつけやすく、評価を下げるリスクのある「困難な課題」を避ける傾向が確認されています(Dweck, 2006)。

一方で、そこに至るまでのプロセスを褒められた子どもは、困難を学習の機会と捉え、粘り強く取り組むレジリエンスを発揮します。

例えば、「100点」という数字を褒めるのではなく、「毎日30分、机に向かって問題を解き続けたあの姿勢が、この結果を導いたんだね」と、本人がコントロール可能な具体的な行動に光を当ててあげることが重要です。




親の過剰な反応が、子どもの達成感を奪う

もう一点、私が懸念しているのが、親が子ども以上に大げさに喜んだり賞賛したりする姿です。

「えええ!すごい!」と親が主役のように振る舞う様子は、客観的に見て少し不自然です。

本来、成功の喜びは子ども自身に帰属すべきものであり、他者がそれを奪ってはいけません。


人間は「自分で自分の行動を決めている」という自律性の感覚があるときに、最も高いモチベーションを維持します(Ryan & Deci, 2000)。

親が過剰に反応しすぎると、子どもは「自分の成功は親を喜ばせるための手段だ」と錯覚し、自分の感情を他者に支配されたような居心地の悪さを抱くようになります。


子どもが成果を報告してきた際は、親がはしゃぐのではなく、まずは「やり切ったね。納得のいく結果になったんじゃない?」と、本人の達成感を確認するような声かけを意識してみてください。

子どもの内側にある純粋な喜びを、本人がしっかり味わうための「余白」を残しておくことが大切です。




「褒める」から、対等な人間としての「感心」へ

「褒めなければならない」という義務感を持つと、どうしても表現が不自然になりがちです。

ここで一度、子どもを自分と対等な一人の人間として捉え直してみてください。

そもそも「褒める」という行為には、しばしば「能力の高い者が低い者を評価する」という上下関係が含まれます。

しかし、長期的な視点で子どもの自律を育むには、横の関係、つまり対等な人間としての信頼関係が不可欠です。

大人が友人や同僚に対して、その成果に驚いたり感銘を受けたりするとき、そこにあるのは作為的な「賞賛」ではなく、純粋な「感心」です。

子どもに対しても、「そんな解き方を思いつくなんて、感心したよ」「あなたが頑張っている姿を見て、私も刺激を受けたよ」といった、一人の人間としての敬意を持ったスタンスで接してみてください。

そうすることで、評価によるコントロールではない、自然で誠実な感情表現が可能になります。




まとめ

子どもが頑張って得た喜びは、あくまで子ども自身のものです。

親の役割はそれを奪うことではなく、傍らでその成長の過程を冷静に、かつ誠実に見守ることにあります。

自然な「感心」の積み重ねこそが、子どもの揺るぎない自信と自律を育んでいくはずです。




参考文献







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