コ ラ ム
2023年11月12日
親子の「やる気」の関係
親に「やる気」があるほど子供にも「やる気」がでるのでしょうか?
少し古い研究になりますが、日本とドイツの母親とその息子のやる気(達成動機得点)を整理して分析したMcClelland, D. C. (1961) の著書から考えてみたいと思います。
McClellandは、母親の達成動機の得点によって、
① 極めて高い群
② 高い群
③ 平均を上回る群
④ 平均を下回る群
の4群にわけて、それぞれの群の息子の達成動機の得点の平均値を比べました。(図1)
その結果、4群のうち「④平均を下回る群」の母親の息子たちの得点は2番目に低く、
得点が一番低かったのは、「①極めて高い群」の母親の息子たちでした。
一方、得点が一番高かったのは、「③平均を上回る群」の母親の息子たちでした。
このことからMcClellandは、あまりにも高い達成動機を持つ母親(①極めて高い群)は、自身の成功に対する達成動機が強いか、あまりにも早くから息子に対して多くの要求を出しすぎるため子供のやる気が削がれるではないかと結論付けています。
この結果は、私のこれまでの体験からも得心いくことが多く、
子供の勉強に対してやる気が高すぎる保護者様(子供の宿題をすべてチェックし親がすべて準備する、子供の宿題や勉強に対して熱心に指導しようとする、学校の点数はすべてチェックし子供を徹底的に管理しようとする)の子供には、
やる気の低い子(勉強は他人事のような感じ、授業中はぼーっとしている子)が多く、
適切な距離感で子供をサポートしようとする保護者様(子供のやり方は尊重し信頼して見守る、子供が困って助けを求めてきたら惜しみないサポート、点数に過度に反応することなく頑張ってきたことに焦点をあてて励ます)の子供には、
やる気の高い子(勉強は自分の問題として扱っている、授業中は集中している)が多い印象を持っています。
確かに、子供にとってありがたい親というのは、すべてを準備して次々と世話をしてくれる親ではなく、
むしろ、子供が試みたいときにはそのチャンスをあたえて、きっとできるだろうと思って信頼して見守り、
一方で、子供が承認や助けを求めてきたときには惜しみなく手を貸してあげる親、
というのが、子供にとって一番ありがたい親なのかもしれません。
子供との関わり方というのは学年が上がるにつれ、難しい問題となってくると思います。
子供の成長や発達に合わせ、冷静に距離感を見極めてサポートの仕方を変えていくことが重要なのだと考えています。
McClelland, D. C. (1961) The achieving society. Van Nostrand pp. 348-350.
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