コ ラ ム
2022年4月13日
ごほうびのメリットとデメリット
勉強したことに“ごほうび”を与える親は少なくありません。
「次のテストで100点取ったら1000円ね」
「1時間勉強したらおもちゃをかってあげる」
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など、ご褒美の形態はさまざまかと思います。
ただ“ごほうび”をあげる側としては、そのメリットとデメリットを明確に理解した上で、有効性を確認しなければなりません。
今回は、対価が人の行動に及ぼす影響を研究してきた“行動経済学”の見地から“ごほうび”のメリットとデメリットを確認してみたいと思います。
<“ごほうび”のメリット>
① 単純な課題は報酬が多いほど成績が向上しうる
② すぐに相手を行動させやすい
<“ごほうび“のデメリット>
③ 内発的動機付け(子供自身の意欲)を失わせる
④ 認知スキル(思考力など)が要求される課題では成果が上がらなくなる可能性がある
⑤ 創造性を蝕む
⑥ 好ましい言動への意欲を失わせる
⑦ ごまかしや近道、倫理に反する行動を助長する
⑧ 依存性がある
⑨ 短絡的思考を助長する
以上が行動経済学から推定される“ごほうび”に関するメリットとデメリットです。
どうでしょうか?
(メリットを頑張って書きたかったのですがなかなか見つからず、デメリットばかりになってしまいました。)
様々な実験によって示唆された内容ですが、すべての研究の詳細を記載するには、ここでは長すぎるので割愛いたします。(何点かポイントを絞って以下に触れてみます。)
例えば、
「④認知スキル(思考力など)が要求される課題では成果が上がらなくなる可能性がある」
などは、様々な研究で示唆されている内容ですが、これを失うことは勉強にとって致命的です。
単純な漢字の読み書きや計算がメインの中学生までの内容なら“ごほうび”のメリット①によって効果は上がるのでしょうが、大学受験は上の大学になればなるほど単純な問題の出題は皆無といっても過言ではありません。
「③内発的動機付け(子供自身の意欲)を失わせる」「⑦ごまかしや近道、倫理に反する行動を助長する」
などは想像しやすいかもしれません。
子供にとって勉強が“ごほうび”をもらうための“ツール”となってしまえば、勉強に対する興味や楽しみをなくし、答えを写したり、やったふりをするような行動をしてしまうことは想像に難くありません
さらに
「⑧依存性がある」
なども経験があると思いますが、一度“ごほうび”になれてしまうと、“ごほうび”なしでは、勉強をしない子になってしまいます。
以上のことから“ごほうび”は望ましい行動に誘導する手段としては、危険と言わざるを得ません。
では“ごほうび”は完全にないほうがいいのでしょうか?
以下の場合においては、そうでないことが様々な研究で示されています。
(ア) 思いがけない報酬に制限する
(イ) 具体的な“モノ”以外にする
「(ア)思いがけない報酬に制限する」
事前に報酬を設定しないで、サプライズ的にあげるということです。
このようなあげ方をした場合には“ごほうび”によるデメリットはほとんどありません。
「(イ)具体的な“モノ”以外にする」
“ごほうび”を金銭やおやつ等の具体的な“モノ”ではなく、行動に対する賞賛やフィードバックにとどめるという意味です。
こういった形の“ごほうび”は、その後の行動にも好影響を及ぼすことが示唆されています。
親としては、子供をついつい“ごほうび”で動かしたくなるものですが、よく考えて使わなければならないのかもしれません。
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